概要
スロベニアは北部ディナル山脈を中心にヒグマが生息しており、2023年のDNA調査で737頭が推定されました(2025年4月公表)。EU LIFE DINALP BEARプロジェクト(2014〜2019年)の主幹国として、道路・鉄道によるクマ交通死を25%削減した先進的な取り組みで知られます。後継プロジェクトLIFE DinPin Bear(2026〜、9か国)でも中心的な役割を担っています。
🌍 政策・管理1件
LIFE DINALP BEARの後継プロジェクトLIFE DinPin Bear(LIFE24-NAT-DE)が2026年1月開始。スロベニア・クロアチア・ギリシャ・ボスニア・セルビア・モンテネグロ・北マケドニア・アルバニア・コソボの9か国が参加し、ディナル〜ピンドス地域のヒグマ個体群を対象とする欧州最大規模の保全プロジェクトとなった。
前プロジェクトLIFE DINALP BEAR(4か国)の成功を受け、2026年1月に後継プロジェクトが始動。バルカン半島からギリシャのピンドス山脈にかけた広域ヒグマ生息域を9か国でカバーするEU最大規模の熊保全プロジェクトとなった。ドイツのNGO・EuroNaturが調整機関を務め、各国の保護区・生態回廊整備・人獣共存プログラムを統合的に推進。2026〜2032年の長期実施計画で、生息域内の交通インフラ対策・モニタリング強化・農業被害対応の体系化を目指す。
📌 教訓・対策ポイント
EUのLIFEプログラムは国境をまたぐ野生動物保全の資金・調整メカニズムとして機能している。9か国が共通目標のもとに協働するモデルは、東アジアにおけるツキノワグマ広域保全の枠組み構築にも示唆を与える。
🏛 当局・機関の対応
EU委員会がLIFE24資金サイクルで承認。ギリシャの保全機関CallistoとドイツのEuroNaturが共同でプロジェクトを主導。各国の環境省・国立公園局が参加機関として名を連ねる。
📊 個体数管理1件
スロベニアはEU最高水準のヒグマ密度を抱えており、個体数管理と安全確保をめぐる議論が続いている。コチェヴェ地方を中心に森林が連続する環境がヒグマに適しているが、農業・林業・観光との軋轢も生じている。スロベニアが欧州の大型捕食動物管理のパイロット国として採用している科学的アプローチは、他の欧州諸国にとっても参考になる先進事例だ。