概要
ノルウェーのヒグマ個体数は2020年のDNA調査で150頭(メス65・オス85)が個体識別されています。政府機関Rovdataが毎年、糞・毛サンプルを用いた非侵襲的DNA調査を実施しており、個体レベルの精密なモニタリングは世界のモデルとなっています。1990年代の最低水準から緩やかな回復が続いており、科学的根拠に基づく狩猟クオータ(年間30〜50頭)が設定されています。
⚠️ 人身被害1件
北極圏ノルウェー領スバールバル諸島のキャンプ地で、ホッキョクグマが観光客を襲い負傷させる事故が発生した。スバールバルではホッキョクグマは保護種であると同時に危険動物でもあり、訪問者は野外での銃器携行が義務付けられている。年間5000人以上が訪れる観光地でのこの事故は、改めて安全管理の徹底が求められることを示している。
🐻 目撃・出没1件
フィンランドから越境してきたとみられるヒグマがノルウェーのフィンマルク地方に侵入し、サーミ人の放牧トナカイを複数頭殺した。ノルウェー国内のヒグマは極めて少数しか残存していないため、越境個体の動向は重要視されている。農業被害への補償は整備されているが、国境を越えた保護管理の枠組み整備が急がれている。
🌍 政策・管理1件
ノルウェー国会で、オオカミやクマなど大型捕食動物に関する新たな管理政策が議論されている。農村部の牧畜業者から捕食動物の頭数削減を求める声が高まる一方、環境保護派は生態系の回復を訴えており、世論は二分されている。EUの生物多様性戦略との整合性という外交的側面も絡むため、政策決定には複雑な調整が必要となっている。
🔬 調査・研究1件
ノルウェー極地研究所が、スバールバルのホッキョクグマの体況と海氷減少の相関関係を示す長期研究を発表した。海氷のない期間が長くなるほどクマの体重が減少し、繁殖成功率が低下するという明確な傾向が示されている。気候変動がホッキョクグマの個体群全体に与える脅威を数値化した重要な研究成果だ。